50人未満のストレスチェック、始める前に決めること

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-10-26)。
ナナトリ担当の初瀬川 凌大(はり師・きゅう師/あん摩マッサージ指圧師)が、生活習慣とストレスの視点から内容を確認しています。
50人未満の事業場でストレスチェックを始める前に決めることは、対象者、実施者、医師の面接指導の依頼先、実施時期、社員への説明の5つです。2028年4月1日からは、常時使用する労働者が50人未満の事業場もストレスチェックが義務になります。この記事では、制度の説明よりも、社内で決める順番と、社員に配る案内に書くことを中心にまとめました。関連会社の導入で、後から直した所も並べています。
50人未満のストレスチェックとは、常時使用する労働者が50人未満の事業場で、年1回、国の調査票(57問など)で社員のストレスの状態を調べ、結果を本人に知らせ、申し出があれば医師の面接指導を行う仕組みです。改正労働安全衛生法により2028年(令和10年)4月1日から義務になります。50人以上の事業場と違い、労働基準監督署への報告は不要です。集団ごとの分析と職場環境の改善は努力義務です。
いつから義務になるかの詳しい流れは50人未満の義務化の記事、産業医がいない会社の実施者の選び方は産業医がいない会社の記事にあります。この記事は、その2つのあとに「社内で何を決めるか」を扱います。
1. 事業場の人数と、受けてもらう人を分ける
最初に、事業場ごとに常時使用する労働者の人数を数えます。義務になるかどうかは、会社全体ではなく事業場ごとの人数で決まるからです。そのうえで、実際に受けてもらう人の名簿を別に作ります。受けてもらう人は、契約期間と週の労働時間の2つで決まり、事業場の人数の数え方とは基準が違います。パート・派遣社員・休職中の人の扱いは対象者の記事で確かめてください。
名簿は、配信を始める前に、部署まで決めておきます。関連会社の株式会社3SMILE(介護・看護の事業所・別法人)では、社員がLINEから自分で登録したあと、部署の割り当てを管理者が後で入れる順番にしました。その結果、2026年10月26日時点で、部署が決まっていない社員が11人いました。部署が空のままだと、部署ごとの集計に入りません。10人未満の部署は、個人が特定されないまとめ方にするか、分けないかを配信前に決めます。

2. 実施者と、面接指導の依頼先を決める
ストレスチェックの実施者になれるのは、医師・保健師と、研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師です。社員の解雇・昇進・異動について直接の権限を持つ人は、実施者になれません。社長が自分で個人の結果を見る形は取れない、ということです。
高ストレスと判定された人が申し出たら、会社は医師の面接指導を行います。50人未満の事業場は、地域産業保健センター(地産保)の医師の面接指導を使える場合があります。条件と予約のしかたは、所在地の窓口で先に確かめておきます。面接指導の流れは面接指導の記事にまとめています。

3. 実施時期と、社内の連絡担当を決める
年1回の実施時期は、繁忙期を避けて決めます。あわせて、社員からの「答え方が分からない」「届いていない」を受ける社内の連絡担当を1人決めます。連絡担当は、結果を見る人ではありません。
LINEなどで知らせを受ける仕組みを使うなら、管理者の登録を社員より先に済ませます。3SMILEでは、管理者のLINEの連携が済まないまま使い始め、10月26日時点で「LINE未連携で止まっている知らせ」が40件たまっていました。仕組みの側は動いていても、受け取る人の準備ができていないと止まります。

4. 結果を見る人と、相談の道を社員に説明する
社員がいちばん気にするのは、「結果を会社に見られるのか」です。国の57問の個人の結果は、実施者から本人に知らせ、本人の同意がなければ会社には渡りません。同意は、本人が結果を見たあとに取ります。答える前にまとめて同意を取ることはできません。
ナナトリを使う場合は、57問とは別の任意の職場アンケートを、会社の管理者が社員ごとに見られることも、同じ案内に書きます。3SMILEでは、LINEで登録した95人のうち、任意の職場アンケートに答えることに同意した人は68人でした。見える範囲の線引きは結果は会社に見られる?の記事に表でまとめています。

5. 案内を配り、回答後に会社がすることを決める
社員への案内は、紙1枚で足ります。書くのは次の6つです。
- 何のために行うか(職場の改善と、本人のセルフケアのため。評価には使わない)
- いつからいつまでに答えるか
- だれが結果を見るか(個人の結果は本人と実施者。会社には同意がなければ渡らない)
- 結果の知らせ方
- 相談と、医師の面接指導の申し出のしかた
- 受けなくても、結果がどうでも、不利な扱いはしないこと
回答後に会社がすることも、配る前に決めておきます。答えていない人への催促を何回までにするか、催促のあとはだれが声をかけるか、です。3SMILEでは、最初の全問の回を締め切った82人のうち、最後まで答えたのは41人でした。2回の催促のあとも答えていない人は、管理者の画面に「声をかける候補」として出ます。導入1か月の数字は3SMILEの導入1か月の記事にまとめています。
出典(確認日 2026-10-26)
- 厚生労働省「ストレスチェック制度について」(50人未満の事業場の義務化・2028年4月1日施行) https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html
- 厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」 https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001678866.pdf
- ナナトリ本番の集計(株式会社3SMILE・会社全体・2026年10月26日に読み出し)

よくある質問
50人未満の事業場のストレスチェックは、いつから義務ですか?
2028年(令和10年)4月1日からです。改正労働安全衛生法により、常時使用する労働者が50人未満の事業場も、年1回のストレスチェックが義務になります。
50人未満でも、労働基準監督署への報告は必要ですか?
常時50人未満の労働者を使用する事業場では、報告は不要です。報告が義務なのは、50人以上の事業場です。
産業医がいなくても始められますか?
始められます。実施者になれる医師・保健師・研修を修了した公認心理師などに頼み、医師の面接指導の依頼先を決めます。50人未満の事業場は、地域産業保健センターで医師の面接指導を無料で受けられる制度があります(利用条件は所在地の窓口で確かめてください)。
最初に何を決めればよいですか?
事業場ごとの人数と、受けてもらう人の範囲です。次に、実施者と医師の面接指導の依頼先を決めます。この2つが決まると、時期と社員への説明が決めやすくなります。
社員には何を伝えればよいですか?
目的、実施の時期、だれが結果を見るか、結果の知らせ方、相談と面接指導の申し出のしかた、受けなくても不利にならないこと、の6つです。個人の結果は本人の同意がなければ会社に渡らないことも、はっきり書きます。
この記事のまとめ
- 50人未満の事業場のストレスチェックは2028年4月1日から義務。常時50人未満の事業場は、労働基準監督署への報告は不要。
- 始める前に決めるのは、事業場ごとの人数と対象者・実施者と面接指導の依頼先・実施時期と社内の連絡担当・結果を見る人の説明・回答後に会社がすること、の5つ。
- 部署の割り当てと管理者のLINEの連携は、社員への配信より先にする。関連会社の3SMILEでは、使い始めてから気づいた。


