助成金Guide

雇用管理制度コースの助成金|離職率の要件

公開 2026.09.25更新 2026.09.25読了 約9分
評価制度の資料と研修の計画表を机に広げて話し合う総務担当者と社労士
制度を入れて、辞める人が減ったら。
Editor

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。

人が辞めて困っている会社にとって、「制度を入れて離職率を下げたら支給される助成金」は、採用費をかける前に検討したい選択肢です。人材確保等支援助成金の雇用管理制度・雇用環境整備助成コースがそれにあたります。2026年度の資料で、いくら出るのか、離職率の目標はどう決まるのか、どのくらいの期間がかかるのかを確かめました。

雇用管理制度・雇用環境整備助成コースとは、人材確保等支援助成金の1コースで、事業主が賃金規定や人事評価、健康づくりなどの雇用管理制度、または従業員の作業負担を減らす機器・設備を導入し、その後の離職率を下げる目標を達成したときに支給される助成金です。窓口は本社の所在地を管轄する都道府県労働局で、計画の認定を受けてから制度を導入し、計画期間の末日の翌日から12か月の離職率(評価時離職率)で達成を判定します。

2026年度に助成される制度と金額

厚生労働省のリーフレットによると、このコースで助成されるのは次の制度と機器です。括弧内は、賃金を一定以上引き上げた場合(賃金要件)の額です。

区分助成額上限
賃金規定制度・諸手当等制度・人事評価制度1制度 40万円(50万円)雇用管理制度の合計で80万円(100万円)
職場活性化制度(メンター制度等)・健康づくり制度(人間ドック等)1制度 20万円(25万円)雇用管理制度の合計で80万円(100万円)
業務負担軽減機器等対象経費の1/2(62.5/100または75/100)150万円(187.5万円または225万円)

合計の上限は230万円、賃金要件を満たした場合は325万円です。賃金規定制度は中小企業だけが対象です。

計画・導入・評価の3つの期間を線で描いた時間軸のメモ
計画の認定から支給申請まで、2年を超えることがあります。計画前の12か月の離職率が「計画時」、計画期間が終わった翌日からの12か月が「評価時」です。

離職率の目標は、人数で変わる

支給の条件の中心は離職率です。導入後の「評価時離職率」が、事業所の人数区分ごとの目標(1〜9人は現状維持、10人以上は計画時離職率から1ポイント低下)を満たしている必要があります。

事業所の雇用保険一般被保険者下げる離職率の目標
1〜9人現状維持
10人以上1%ポイント

あわせて、評価時離職率が30%以下であることが求められます。離職率は「期間中に離職で雇用保険の一般被保険者でなくなった人数」を「期間の初日の一般被保険者の人数」で割って出し、定年退職・重責解雇・役員への昇格・一部の期間満了による離職は数えません。計算の細かい決まりと、日々の記録の残し方は離職率の計算と記録の記事にまとめました。

計画から支給まで、2年を超えることもある

厚生労働省の詳細資料にある例では、2026年6月に計画の認定を申請した場合、次のような日程になります。

  1. 計画時離職率の期間(12か月)。申請日の12か月前の月初から、申請月の前月末まで。例では2025年6月〜2026年5月。
  2. 計画の認定申請。本社の所在地を管轄する都道府県労働局へ。
  3. 制度の導入・実施(計画期間)。例では2026年8月〜2027年7月。
  4. 評価時離職率の期間(12か月)。計画期間の末日の翌日から。例では2027年8月〜2028年7月。
  5. 支給申請。評価時離職率の期間が終わってから2か月以内。

導入した制度は、評価の期間の末日まで運用し続ける必要があります。制度を入れて終わりにせず、実際に使われ、職場がどう変わったかを見続けることが条件になっている、ということです。

申請する会社の形ごとに、先に確かめること

社員が10人未満の会社

離職率の目標は現状維持です。1人辞めると率が大きく動くので、計画時の期間に誰がいつ辞めたかを、記録で確かめておきます。

介護・看護などの事業所

健康づくり制度や、移乗の負担を減らす機器(業務負担軽減機器等)の導入が検討しやすい区分です。どの機器が対象かは資料の例示と労働局への確認で決めます。外国人スタッフが多い事業所は、外国人労働者就労環境整備助成コースも比べてください。

評価制度を作りたい会社

人事評価制度は1制度40万円の区分です。評価を入れると、面談の記録や評価の結果が残り、離職の理由を話し合う材料にもなります。

メンター制度を作りたい会社

職場活性化制度の例に挙がっています。若手の定着を話し合う仕組みとして、若手の定着の記事もあわせて読んでください。

顧問の社労士がいる会社

計画の書き方、制度の規定、支給申請の書類は社労士に相談します。会社側は、人の出入りの記録と制度の運用の記録をそろえておきます。

ナナトリで手伝えること、手伝えないこと

ナナトリは、社員がLINEで答える職場アンケートとストレスチェックに、入社・退職の件数と勤続、部署ごとの職場の状態を合わせた「会議用のまとめ」を出すサービスです。助成金の申請や計画書の作成はしません。また、ナナトリの利用料が助成の対象になるとは、厚生労働省の資料には書かれていません。

役に立つのは、制度を入れたあと「職場が変わったか」を毎月の会議で確かめる場面です。申請の数字は雇用保険のデータで算定されますが、辞めた時期と部署、辞める前の職場の答えが手元にあると、評価の期間の途中で手を打てます。採用費と定着の考え方は採用費と離職率の記事、社労士との役割の分け方は助成金と社労士の記事にまとめています。

出典(確認日 2026-09-25)

よくある質問

この助成金は、会社が自分で申請できますか?

事業主が自ら申請することはできます。社外の人に報酬を払って申請書の作成や提出の代行を頼む場合は、社会保険労務士に頼むのが原則です。計画の認定から評価の期間まで長いので、顧問の社労士がいる会社は早めに相談しておくと進めやすくなります。

ナナトリの利用料は助成の対象になりますか?

対象になるとは、厚生労働省の資料には書かれていません。ナナトリは、離職率や職場の状態を記録して会議で見るための道具として使ってください。対象経費になるかどうかは、管轄の労働局に確認が必要です。

社員が9人の会社でも使えますか?

使えます。事業所の雇用保険一般被保険者が1〜9人なら、離職率の目標は現状維持です。10人以上なら計画時の離職率から1ポイント下げることが求められます。どちらの場合も、評価時の離職率が30%以下である必要があります。

研修制度やメンター制度も対象ですか?

2026年度の資料では、職場活性化制度(メンター制度など)と健康づくり制度(人間ドックなど)が1制度20万円の枠に入っています。研修そのものの扱いは資料の区分で確かめてください。

定年で辞めた人も離職率に入りますか?

入りません。離職率の計算からは、定年退職、重責解雇、役員への昇格、一部の雇用期間の満了による離職が除かれます。自己都合の退職だけでなく、会社都合の退職は数に入る点に注意してください。

この記事のまとめ

  1. 2026年度は、賃金規定・諸手当等・人事評価が1制度40万円、職場活性化・健康づくりが20万円(上限80万円)。賃金要件を満たすと増額。
  2. 離職率の目標は、事業所の一般被保険者1〜9人なら現状維持、10人以上なら1ポイント低下、かつ評価時の離職率30%以下。
  3. 計画の認定→計画期間中に導入→計画期間の末日の翌日から12か月の評価→2か月以内に申請。ナナトリの費用が対象とは書かれていない。記録と会議の道具として使う。
無料相談(30分)電話する