外国人労働者の定着と助成金|要件と準備

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。
介護や製造の現場では、外国人スタッフが欠かせなくなっています。一方で、言葉の違いや日本の職場の慣習がわかりにくいことから、ちょっとした行き違いが退職につながることもあります。外国人労働者が辞めにくい環境をつくった会社に支給される助成金が、人材確保等支援助成金の外国人労働者就労環境整備助成コースです。
外国人労働者就労環境整備助成コースとは、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(雇用労務責任者の選任、就業規則の多言語化、相談体制の整備など)を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に支給される助成金です。雇用保険の被保険者である外国人労働者を雇う事業主が対象で、計画の認定を受けて措置を導入し、その後6か月の外国人労働者の離職率が基準を満たしたときに支給されます。
必須の措置と、選択の措置
| 区分 | 措置 | 中身 |
|---|---|---|
| 必須 | 雇用労務責任者の選任 | 事業所ごとに選び、外国人労働者に知らせ、1回以上面談する |
| 必須 | 就業規則等の多言語化 | 就業規則・労働協約・労働条件通知書・雇用契約書のいずれかを多言語にして周知 |
| 選択 | 苦情・相談体制の整備 | 母国語などで苦情や相談に応じる体制を新たに定める |
| 選択 | 一時帰国のための休暇制度 | 年1回以上、連続5日以上の有給休暇を取れる制度を新たに定める |
| 選択 | 社内マニュアル・標識類の多言語化 | 社内マニュアルや標識などを新たに多言語にして周知 |
必須の2つに加えて、選択の3つから1つ以上を実施します。支給額は1つの措置の導入ごとに20万円、上限80万円です。

6か月の離職率が、支給の条件
措置を実施した日の翌日から6か月間の「外国人労働者離職率」が15%以下であることが条件です。期間の初日の外国人労働者が2人以上10人以下の場合は、期間中の離職者が1人以下であれば満たします。あわせて、計画の提出日から期間の末日まで続けて雇っている外国人労働者が1人以上いる必要があります。
支給申請は、離職率の期間が終わってから2か月以内に、本社の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークへ出します。
通訳や翻訳の費用の扱い
外部に頼んだ場合の支給対象経費として、通訳費、翻訳機器の導入費(雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要なものに限る)、翻訳料、委託料などが挙げられています。ただし支給額は措置ごとの定額で、かかった費用の全額が戻るわけではありません。
ナナトリの9つの言葉は、声を拾う入口
ナナトリの職場アンケートは、日本語・中文・ベトナム語・韓国語・タガログ語・ネパール語・インドネシア語・ポルトガル語・英語の9つから、社員が答える言葉を選べます。国の57問は厚生労働省の外国語版(韓国語は当社訳)を使います。
ただし、ナナトリのアンケートそのものが「苦情・相談体制の整備」にあたるとは、資料には書かれていません。母国語などで相談に応じる担当者や窓口は会社が作ります。ナナトリは、答えから困りごとの傾向をつかみ、相談の申し込みを受ける入口として組み合わせてください。また、ナナトリの利用料が支給対象経費になるとも書かれていません。言葉の選び方はLINEと9言語の記事、相談窓口の置き方は相談窓口の記事にあります。
出典(確認日 2026-09-25)
- 厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/gaikokujin.html
- 厚生労働省「外国人労働者を雇用する事業主の皆様へ」(リーフレット) https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/001682049.pdf
- 厚生労働省「外国人労働者就労環境整備助成コース ガイドブック」 https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/001682050.pdf
よくある質問
どんな会社が対象ですか?
雇用保険の被保険者である外国人労働者を雇っている事業主が対象です。特別永住者と、在留資格が外交・公用の人は外国人労働者に含まれません。支給は事業所単位ではなく事業主単位です。
通訳を頼んだ費用は出ますか?
外部に頼んだ場合、通訳費・翻訳料・委託料などが支給対象経費として例示されています。翻訳機器の導入費は、雇用労務責任者と外国人労働者の面談に必要なものに限られます。ただし支給額は1措置ごとの定額です。
外国人スタッフが3人しかいません。1人辞めたら対象外ですか?
離職率の期間の初日に外国人労働者が2人以上10人以下の場合は、期間中の離職者が1人以下であれば条件を満たします。そのうえで、計画の提出日から離職率の期間の末日まで続けて雇っている外国人労働者が1人以上いる必要があります。
ナナトリのアンケートは相談体制の措置になりますか?
ナナトリのアンケートそのものが、資料でいう苦情・相談体制の整備にあたるとは書かれていません。相談に応じる担当者や窓口の体制は会社が作る必要があります。ナナトリは、声を拾う入口や相談の申し込みの手段として組み合わせてください。
申請はどこにしますか?
本社の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークです。計画の認定を受けてから措置を導入し、離職率の期間が終わってから2か月以内に支給申請をします。
この記事のまとめ
- 必須=雇用労務責任者の選任(面談1回以上)と就業規則等の多言語化。選択=相談体制・一時帰国の休暇制度・マニュアルや標識の多言語化から1つ以上。
- 1措置20万円・上限80万円。措置実施日の翌日から6か月の外国人労働者の離職率が15%以下(2〜10人なら離職者1人以下)。
- ナナトリの費用が対象とは書かれていない。9言語のアンケートは声を拾う入口として、会社が作る相談体制と組み合わせる。


