ハラスメント相談窓口|社内と社外の置き方

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。
相談窓口は作った。けれど相談は1件も来ない。小さな会社ほど、この状態になりがちです。考えられる理由の1つは、窓口の担当者が社長や上司に近く、相談したことが伝わるのではと社員が感じることです。厚生労働省の指針をもとに、窓口の置き方と、社内と社外の組み合わせ方を整理しました。
ハラスメントの相談窓口とは、パワハラ・セクハラ・妊娠出産等のハラスメント、2026年10月からはカスハラについて、社員の相談や苦情に応じ、適切に対応するために会社が置く体制です。厚生労働省の指針は、窓口を置いていると認められる例として、相談に対応する担当者をあらかじめ定めること、相談に対応する制度を設けること、外部の機関に相談への対応を委託することを挙げています。
窓口の3つの形
| 形 | よいところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 社内の担当者 | 職場の事情が分かり、事実確認や配置の調整に早く動ける | 担当者が行為者や社長に近いと相談しにくい |
| 相談の制度 | 申し込みの手順が決まり、記録が残る | 制度があることを知らせ続けないと使われない |
| 外部の機関への委託 | 社内の人に知られにくく、相談しやすい | 事後の対応は会社がするので、連携の手順が要る |

窓口の担当者が気をつけること
指針は、担当者が相談の内容や状況に応じて適切に対応できるようにすることを求め、次の点を挙げています。
- 被害を受けた人が萎縮して相談をためらうこともあると踏まえる。
- 相談者の心身の状況や、言動を受けたときの受け止めにも配慮する。
- ハラスメントが起きている場合だけでなく、起きるおそれがある場合や、該当するか微妙な場合も広く相談を受ける。
社内と社外を並べる
相談が来やすくなる形の1つは、社内の担当者と外部の窓口の両方を案内し、相談する人が選べるようにすることです。案内には、どちらに相談しても不利益な取扱いはしないこと、プライバシーを守ることを必ず書きます。外部に委託しても、事実確認、被害を受けた人への配慮、行為者への対処、再発防止は会社がするので、外部から会社へどこまで伝えるか、本人の同意をどう取るかを先に決めておきます。
会社が講じる措置の全体はパワハラ防止法の記事、セクハラの定義と措置はセクハラ防止の記事、カスハラの相談体制はカスハラ義務化の記事にあります。
ナナトリは、相談の入口の1つ
ナナトリでは、社員がLINEからカウンセリングを申し込めます。会社には申し込みの知らせだけが届き、会社は相談先と日程を合わせる段取りだけを受け持ち、相談の中身は聞きません。相談先は、付き合いのあるカウンセラー・産業医・公認心理師がいればそちら、いなければ当社(SECRET MEDICINE)が提携する公認心理師です(費用は相談先の料金)。法律上の相談窓口の担当者を決め、対応できるようにするのは会社の措置で、ナナトリがそれを代わりに引き受けるわけではありません。窓口と組み合わせる入口として使ってください。
出典(確認日 2026-09-25)
- 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf
- 厚生労働省「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605548.pdf
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
よくある質問
相談窓口は、必ず置かないといけませんか?
パワハラ・セクハラなどの防止措置として、相談窓口をあらかじめ定めて社員に知らせることが事業主の義務になっています。2026年10月1日からはカスハラについても相談体制の整備が義務になります。
外部の機関に任せても、義務を果たしたことになりますか?
指針では、窓口を置いていると認められる例の1つに、外部の機関に相談への対応を委託することが挙がっています。ただし事実確認や行為者への対処、再発防止などの事後の対応は会社の措置なので、外部と会社の連携の手順を決めておく必要があります。
パワハラかどうか微妙な相談も、受けるべきですか?
受けます。指針は、ハラスメントが現実に起きている場合だけでなく、起きるおそれがある場合や、該当するか微妙な場合でも、広く相談に対応するよう求めています。
相談したことが周りに知られないか心配です。
相談者や行為者のプライバシーを守る措置を講じ、その旨を社員に知らせることが会社の義務です。相談したことを理由に不利益な取扱いをしないことも定めて知らせます。
社長しかいない小さな会社は、どうすればよいですか?
社長が行為者になり得る場合、社員は社内では相談しにくくなります。外部の機関への委託を並べ、どちらに相談しても不利益がないことを伝えると、入口が広がります。
この記事のまとめ
- 窓口は、担当者を定める・制度を設ける・外部の機関に委託する、のどれでも置ける(指針の例)。
- 担当者は、相談者の心身の状況や受け止めに配慮し、微妙な場合も含めて広く相談を受ける。
- 事後の対応は会社の措置。社内と社外を並べ、プライバシー保護と不利益取扱いの禁止を必ず伝える。


