セクハラ防止の会社の義務|相談窓口と対応

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。
セクハラは、本人がとくに言い出しにくい相談の1つです。窓口を置いても、相談が来ないまま問題が大きくなることがあります。セクハラ防止の措置は、業種や規模にかかわらず、すべての事業主の義務です。厚生労働省の資料で、定義と、会社がすべきことを整理しました。
職場のセクシュアルハラスメントとは、男女雇用機会均等法で、職場において社員の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇・降格・減給などの不利益を受けること(対価型)と、性的な言動によって職場の環境が不快なものとなり、社員の能力の発揮に大きな悪影響が生じること(環境型)をいいます。会社には、業種や規模にかかわらず、防止のための雇用管理上の措置が義務づけられています。
誰が、誰に対して起こし得るか
- 行為者は、事業主・上司・同僚だけでなく、取引先、顧客、患者なども含まれます。
- 男性も女性も、行為者にも被害者にもなり得ます。同性に対するものも該当します。
- 相手の性的指向や性自認にかかわらず、該当することがあり得ます。
介護や医療の職場では、利用者や患者からの言動が問題になる場面もあります。2026年10月からはカスハラ対策も義務になるので、カスハラ義務化の記事とあわせて体制を考えてください。

会社が講じる措置
- 方針を明確にし、管理職を含む社員に周知・啓発する。
- 相談や苦情に応じ、適切に対応するための体制を整える。
- 相談があったら事実関係を迅速・正確に確かめ、被害者と行為者に適正に対処し、再発防止の措置を講ずる。
- 相談者や行為者のプライバシーを守り、相談や事実確認への協力を理由に不利益な取扱いをしない旨を定めて周知する。
厚生労働省は、これらの措置はすべての事業主に義務づけられていると明記しています。
相談窓口の置き方
指針では、相談窓口を置いていると認められる例として、①担当者をあらかじめ定める、②相談に対応する制度を設ける、③外部の機関に相談への対応を委託する、が挙がっています。社長や上司が行為者になり得る小さな会社では、社外の窓口を並べると相談しやすくなります。置き方の比べ方は相談窓口の記事にまとめました。
2026年10月からは、求職者等へのセクハラも
2026年10月1日から、社員の性的な言動によって就活生や実習生などの求職活動が妨げられることを防ぐ措置も義務になります。採用面接、説明会、社員への訪問、インターンシップ、教育実習・看護実習などの場面が対象で、オンラインやSNSでのものも含まれます。実習を受け入れる介護・医療の事業所は、指導担当の社員への周知が必要です。
ナナトリで手伝えること
ナナトリでは、社員がLINEから相談(カウンセリング)を申し込め、会社は日程の段取りだけを受け持ち、相談の中身は聞きません。相談先は、付き合いのあるカウンセラー・産業医・公認心理師がいればそちら、いなければ当社(SECRET MEDICINE)が提携する公認心理師です(費用は相談先の料金)。職場アンケートのハラスメントの問いから、困りごとの傾向を部署ごとに名前なしで見ることもできます。ただし、法律上の相談窓口の設置と対応は会社の措置で、ナナトリがそれを代わりに引き受けるわけではありません。調べ方はハラスメントのアンケートの記事にあります。
出典(確認日 2026-09-25)
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(セクシュアルハラスメントの定義・事業主の義務) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
- 厚生労働省「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605548.pdf
- 厚生労働省 リーフレット(詳細版)カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662580.pdf
よくある質問
セクハラ防止の措置は、小さな会社にも義務ですか?
業種や規模にかかわらず、すべての事業主に義務づけられています。方針の明確化と周知、相談体制、事後の対応、プライバシー保護と不利益取扱いの禁止などが含まれます。
利用者や患者からのセクハラも、会社が対応するのですか?
厚生労働省は、事業主・上司・同僚に限らず、取引先、顧客、患者なども行為者になり得るとしています。介護や医療の職場では、利用者や患者からの言動への対応を、相談体制の中で決めておく必要があります。
男性が被害を受けた場合も、セクハラになりますか?
なります。厚生労働省は、男性も女性も行為者にも被害者にもなり得て、同性どうしの言動も当たるとしています。「男性だから相談しにくい」ことがないよう、窓口の案内に書き添えておくと相談の入口が広がります。
相談窓口は、外部に委託してもよいですか?
厚生労働省の指針では、相談窓口を置いていると認められる例の1つとして、外部の機関に相談への対応を委託することが挙がっています。社内の担当者と並べて置く形もあります。
2026年10月から何が変わりますか?
就活生や実習生など求職者等へのセクハラを防ぐ措置が、事業主の義務になります。採用面接、説明会、インターンシップ、教育実習・看護実習などの場面での社員の言動が対象で、オンラインやSNSでのものも含まれます。
この記事のまとめ
- セクハラ=対価型(拒否で不利益)と環境型(職場環境が不快で能力発揮に悪影響)。防止措置は業種・規模を問わず全事業主の義務。
- 患者・利用者・顧客も行為者になり得る。男性も女性も、同性間も、性的指向・性自認にかかわらず該当し得る。
- 相談窓口は外部委託も可。2026年10月1日から求職者等(実習生を含む)へのセクハラ対策も義務。


