ハラスメントのアンケート|社内調査の進め方

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。
「ハラスメントのアンケートを取りたいが、何を聞けばいいのか」「答えが出たら、どうすればいいのか」。方針や窓口を作ったあとに、迷いやすいところです。厚生労働省の指針は、アンケート調査や意見交換で措置の運用状況を把握し、見直すことを重要としています。職場の点検としての進め方をまとめました。
ハラスメントのアンケートとは、職場でハラスメントを見聞きしたことがあるか、相談窓口を知っているか、相談しやすいかなどを社員にたずね、職場全体の状態や会社の措置の運用状況を確かめる調査です。厚生労働省のパワハラ防止の指針は、事業主が措置を講じる際に、社員や労働組合などの参画を得ながら、アンケート調査や意見交換を行い、運用状況を的確に把握して必要な見直しを検討することを重要としています。個別の被害の事実確認とは目的が違います。
アンケートで聞くこと
聞くことは、職場の状態と、会社の措置が届いているかの2つに分けると整理しやすくなります。
| 区分 | たずねる内容の例 |
|---|---|
| 職場の状態 | ハラスメントにあたる言動を見聞きしたか、どんな場面か(上司・同僚・利用者や顧客など) |
| 措置の届き方 | 会社の方針を知っているか、相談窓口を知っているか、相談しやすいと感じるか |
| 相談しにくさ | 相談をためらう理由(周りに知られる、不利になる、など) |
| 自由記述 | 職場で困っていること(個人が特定される書き方をしないよう案内する) |

名前と答えの扱いを、先に決めて伝える
- 誰が答えを見るか。管理者だけか、部署長も見るか。社員ごとに見えるのか、集計だけか。
- 少人数の部署。人数を横に書き、傾向として読む。近い部署とまとめる。
- 自由記述。そのまま回覧しない。要約して傾向だけを会議に出す。
- 不利益な扱いをしない。答えたこと、答えなかったことで不利にならないと明記する。
ナナトリでは、任意アンケートの答えは会社の管理者には社員ごとに見え、部署長は自部署だけです。会議用のまとめは名前を出さず人数や件数で示します。なお、法定のストレスチェックの個人の結果は本人に通知され、本人の同意なく会社には提供されません(ナナトリでは本人と実施者だけが見ます)。任意のアンケートとは扱いが違います。何が誰に見えるかを、導入の前に社員に示してください。
個別の相談とは、分けて扱う
アンケートの答えだけで事実を断定することはできません。深刻な被害がうかがえるときは、本人の意向を尊重しながら、相談窓口から個別に話を聞く機会を案内します。答えを見た上司が本人に直接問いただすことはしません。本人から相談があれば、相談者と行為者の双方から丁寧に事実を確かめます(パワハラ防止法の記事)。部署全体に同じ傾向が見えるなら、方針の周知のやり直しや研修など、再発防止の取り組みを考えます。
会議で使う順番
- 方針と窓口の認知を、部署ごとに見る。
- ハラスメントを見聞きした場面の偏りを見る(上司・同僚・利用者など)。
- 相談しにくい理由を見る。
- 誰が・いつまでに・何をするかを決める。
- 3か月後の同じ問いで、変化を確かめる。
ナナトリの職場アンケートにはハラスメントについての問いがあり、年1回の全問と3か月ごとの短い回がLINEで届きます。AIの会議メモは10人以上の集計だけを使って、議題と担当の案を出します。窓口の置き方は相談窓口の記事、指導との境目は6類型とグレーゾーンの記事にあります。
出典(確認日 2026-09-25)
- 厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(アンケート調査や意見交換による運用状況の把握) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
よくある質問
ハラスメントのアンケートは、義務ですか?
アンケートそのものは義務ではありません。厚生労働省の指針は、措置を講じる際に、社員などの参画を得ながらアンケート調査や意見交換を行い、運用状況を的確に把握して見直すことを重要としています。
記名式と無記名式、どちらがよいですか?
職場全体の点検が目的なら、答えた人が特定されない形の方が正直な答えが集まりやすくなります。ナナトリの任意アンケートは会社の管理者に社員ごとに見える仕組みなので、無記名で聞きたい問いは別の方法を使うか、見える範囲を社員に先に示してください。個別の被害の申し出には、相談窓口や相談の申し込みの入口を別に案内しておきます。
アンケートで被害が書かれていたら、どうしますか?
答えだけで事実を断定しません。本人の意向を尊重しながら相談窓口から個別に話を聞く機会を案内し、相談があれば指針に沿って事実関係を確かめます。上司が答えを理由に本人へ直接問いただすことは避けます。部署全体の傾向として見える場合は、再発防止の取り組みを検討します。
少人数の部署の答えは、どう扱いますか?
人数が少ないと、答えから誰が書いたか推測されやすくなります。人数を横に書いて傾向として読む、近い部署とまとめて見る、個人の話に結びつけない、の3つを会議のルールにしてください。
どのくらいの頻度で行えばよいですか?
決まりはありません。方針や窓口を変えたあとに効果を確かめるなら、同じ問いを時期を決めて繰り返すと変化が見えます。ナナトリでは年1回の全問と3か月ごとの短い回が自動で届きます。
この記事のまとめ
- 指針は、アンケート調査や意見交換で措置の運用状況を把握し、見直すことを重要としている。
- アンケートは職場全体の点検。個別の被害の事実確認は、相談窓口と指針の手順で別に行う。
- 誰が答えを見られるかを先に社員へ示す(ナナトリの任意アンケートは管理者に社員ごとに見える)。少人数の部署は傾向として読み、同じ問いを繰り返して変化を見る。


