ハラスメント

パワハラの6類型とグレーゾーン|指導との違い

公開 2026.09.25更新 2026.09.25読了 約7分
上司と部下が落ち着いた雰囲気で仕事の進め方を話し合う小さなオフィス
厳しさではなく、必要かどうか。
Editor

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。

「これは指導なのか、パワハラなのか」。管理職がよく迷う問いです。厚生労働省は、パワハラの代表的な言動を6つの類型に分け、それぞれに該当すると考えられる例を示しています。リーフレットの原文にそって、類型と、適正な指導との境目の考え方を整理しました。

パワハラの6類型とは、厚生労働省がパワーハラスメントの代表的な言動を、暴力や暴言のような攻撃から、仕事の与え方、私生活への立ち入りまで6つに分けて示したものです。パワハラに当たるのは、①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③就業環境が害されるもの、の3要素をすべて満たす場合で、6類型は判断の目安となる代表例です。

6つの類型と、該当すると考えられる例

類型中身例(リーフレットから)
1 身体的な攻撃暴行・傷害殴打、足蹴り、物を投げつける
2 精神的な攻撃脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言人格を否定する言動(性的指向・性自認に関する侮辱を含む)、必要以上に長時間の厳しい叱責の繰り返し
3 人間関係からの切り離し隔離・仲間外し・無視同僚が集団で無視し、職場で孤立させる
4 過大な要求不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害必要な教育をせずに到底対応できない目標を課し、達成できないと厳しく叱責する
5 過小な要求能力や経験とかけ離れた低い仕事、仕事を与えない退職させるために誰でもできる業務をさせる、嫌がらせで仕事を与えない
6 個の侵害私的なことに過度に立ち入る性的指向・性自認や病歴、不妊治療などの機微な個人情報を了解なく他の社員に暴露する
6つの類型を短い言葉で並べて書いたノート
身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害。

指導との境目は、必要性と相当性

客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務の指示や指導は、パワハラに当たりません。境目を決めるのは言葉の厳しさではなく、その言動が業務に必要か、やり方が相当かです。

個別の事案は、言動の目的や経緯・状況など様々な要素を総合的に考えて判断します。相談を受けた担当者は、相談者の受け止めにも配慮しながら、相談者と行為者の双方から丁寧に事実を確かめます。

グレーゾーンを、職場の声で話し合う

パワハラは1回の言動でも、積み重ねでも起こり得ます。個別の事案は3要素に照らして判断し、それとは別に、職場の関わり方の傾向を点検します。ナナトリの職場アンケートでは、同僚・上司・会社・職場環境についての答えと、ハラスメントについての問いを、会議用のまとめで部署ごとに名前なしの数字で見られます(答えそのものは管理者に社員ごとに見えます)。上司の関わり方に偏りがある部署を、責める材料ではなく、指導のあり方を見直す会議の材料にしてください。

会社の措置の全体はパワハラ防止法の記事、職場での調べ方はハラスメントのアンケートの記事、中堅社員の声の聞き方は中堅社員の記事にまとめています。

出典(確認日 2026-09-25)

よくある質問

厳しく叱ったら、すべてパワハラになりますか?

なりません。客観的に見て業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な指示や指導は、パワハラに当たりません。ただし、業務の遂行に必要な以上に長時間の厳しい叱責を繰り返すことは、精神的な攻撃の例に挙がっています。

6類型に当てはまらなければ、パワハラではないのですか?

6つの類型は代表的な言動の分類で、これに限られるわけではありません。個別の事案は、言動の目的や経緯、状況などを総合的に考えて判断します。

仕事を与えないことも、パワハラになりますか?

業務上の合理性がないのに、気に入らない社員に嫌がらせのために仕事を与えないことは、過小な要求の例に挙がっています。本人の体調への配慮など合理的な理由がある場合とは分けて考えます。

同僚どうしでも、パワハラになりますか?

厚生労働省のリーフレットには、1人の社員に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させることが、人間関係からの切り離しの例として挙がっています。上司と部下の間だけの問題とは限りません。

機微な個人情報を、他の社員に伝えてもよいですか?

社員の性的指向・性自認や病歴、不妊治療などの機微な個人情報を、本人の了解なく他の社員に暴露することは、個の侵害の例に挙がっています。共有が必要な場合は、目的と範囲を決め、本人の了解を得ます。

この記事のまとめ

  1. パワハラは3要素(優越的な関係・業務上必要かつ相当な範囲を超える・就業環境を害する)をすべて満たすもの。適正な指導は当たらない。
  2. 6類型=身体的な攻撃・精神的な攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害。類型は代表例で、個別は総合的に判断。
  3. 境目は厳しさではなく、業務上の必要性と相当性。上司の関わり方は、部下の答えの傾向から会議で話し合う。
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