助成金

助成金と社労士|申請業務と不正受給の注意点

公開 2026.09.25更新 2026.09.25読了 約7分
社会保険労務士と会社の総務担当者が、出勤簿と賃金台帳をめくりながら確認している様子
申請は専門家と。記録は会社の手で。
Editor

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。

「助成金の申請、全部お任せください」。そんな営業を受けたことがある会社も多いはずです。雇用関係の助成金は、要件や書類が細かく、専門家に頼む意味が大きい一方で、頼む相手を間違えたり、書類の中身を確かめずに任せたりすると、会社が不正受給の責任を負うことがあります。社労士との役割の分け方と、会社が日頃から残しておく記録をまとめました。

雇用関係助成金とは、厚生労働省が雇用の安定や職場環境の改善などを目的に、要件を満たした事業主に支給する助成金の総称です。人材確保等支援助成金や両立支援等助成金などがあり、申請先は都道府県労働局やハローワークです。申請書の作成や提出の代行を、報酬を得て業として行えるのは原則として社会保険労務士で、不正受給に関与した社労士にも返還の責任や公表の措置があります。

申請の代行は、原則として社労士の仕事

社会保険労務士法は、社労士でない者が他人の求めに応じて報酬を得て、労働社会保険の法令にもとづく申請書の作成や、行政機関への提出の代行を業として行うことを制限しています(第27条)。助成金の申請書づくりもこれに含まれます。

会社が自分で申請することはできます。外部に頼む場合は、依頼先が社労士か、社労士と組んで申請の部分を任せているかを確かめてください。

出勤簿、賃金台帳、雇用契約書を重ねた書類の束
助成金の要件の多くは、日頃の記録がそろっているかで確かめられます。

不正受給になったときの措置

対象措置
事業主受け取った助成金の全額返還、不正受給日の翌日からの延滞金、不正受給額の2割に相当する額の納付
事業主不正受給の決定日から5年間、雇用関係助成金を受けられない(返還が済むまで延長)
事業主公表の基準に当たる場合、事業主名・代表者名などの公表
関与した社労士・代理人関与した額(延滞金・2割相当額を含む)を事業主と連帯して返還、5年間は申請の受理なし、氏名などの公表

書類を作ったのが外部の人でも、申請するのは会社です。中身を確かめずに判子を押すと、会社が責任を負います。

会社が日頃からそろえておく記録

厚生労働省の「各雇用関係助成金に共通の要件等」には、労働保険料を滞納していないこと、支給申請日の前日から1年前の日までに労働関係の法令違反がないこと、対象の社員の出勤や賃金の状況がわかる書類を整えて保存していることなどが並んでいます。

  1. 出勤簿・タイムカード。働いた日と時間。
  2. 賃金台帳。支払った賃金の中身。
  3. 労働者名簿・雇用契約書。雇い入れの日と条件。
  4. 就業規則。制度を入れたなら、その規定。
  5. 人の出入りの記録。離職率を使う助成金では、辞めた日と理由の区分。

離職率の数え方は離職率の計算と記録の記事、制度を入れて離職率を下げる助成金は雇用管理制度コースの記事、介護離職を防ぐ助成金は両立支援等助成金の記事にまとめました。

ナナトリは、申請をしない。記録を残す。

ナナトリは助成金の申請代行をしません。役に立つのは、社員がLINEで答える職場アンケートと、入社・退職の件数と勤続、部署ごとの職場の状態を合わせた「会議用のまとめ」で、制度を入れたあとに職場がどう変わったかを会社が自分で確かめる場面です。ナナトリの利用料が助成の対象になるとは、厚生労働省の資料には書かれていません。

社労士の方からのご相談も受け付けています。顧問先の定着や職場の声を、名前なしの数字で一緒に見る使い方をご案内します。

出典(確認日 2026-09-25)

よくある質問

コンサル会社に助成金の申請を丸ごと頼んでも大丈夫ですか?

社会保険労務士法では、社労士でない者が報酬を得て、労働社会保険の法令にもとづく申請書の作成や提出の代行を業として行うことは制限されています。依頼先が社労士かどうか、社労士と組んでいるかを確かめてください。

不正受給になると、どうなりますか?

受け取った助成金は全額返還し、不正受給の日の翌日からの延滞金と、不正受給額の2割に相当する額も納めます。不正受給の決定日から5年間は雇用関係助成金を受けられず、基準に当たると事業主名などが公表されます。

社労士が不正に関わった場合は?

不正受給に関与した社労士や代理人は、関与した額(延滞金と2割相当額を含む)について事業主と連帯して返還する義務を負い、5年間は申請ができなくなります。都道府県労働局が関与した社労士などを公表しています。

会社が日頃から残しておくべき記録は?

出勤簿やタイムカード、賃金台帳、労働者名簿、雇用契約書など、対象の社員の働き方と賃金がわかる記録です。助成金ごとに求められる書類は違うので、申請前に支給要領で確かめます。

社労士ですが、ナナトリを顧問先に紹介できますか?

ご相談ください。ナナトリは申請代行をしないサービスなので、社労士の業務とぶつかりません。顧問先の職場アンケートと人の出入りの記録を、面談や制度づくりの材料として一緒に見る使い方をご案内します。

この記事のまとめ

  1. 報酬を得て申請書の作成・提出代行を業として行えるのは原則として社労士(社会保険労務士法)。依頼先が社労士かを確かめる。
  2. 不正受給=全額返還・延滞金・2割相当額・5年間の不支給・事業主名などの公表。関与した社労士も連帯して返還。
  3. 会社は出勤簿・賃金台帳などを日頃からそろえる。ナナトリは申請代行をせず、職場の記録と会議の道具として社労士と組める。
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