離職率低下の助成金|計算のしかたと記録

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。
離職率を下げると支給される助成金は、「下がったかどうか」を決める計算のしかたが資料で細かく決まっています。社内で何となく数えている離職率とは、分母も分子も違うことがあります。申請の数字と、会議で見る数字をそろえておくと、評価の期間の途中で手を打てます。
助成金でいう離職率とは、決められた期間の中で、離職によって雇用保険の一般被保険者でなくなった人の数を、その期間の初日の一般被保険者の数で割り、100をかけた値です。人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)では、計画前の12か月を「計画時離職率」、制度を入れた後の12か月を「評価時離職率」として比べ、目標を達成したかを判定します。数え方は事業主単位で、制度を入れていない事業所も含めて計算します。
分母と分子、数えない離職
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 分母 | 期間の初日の雇用保険一般被保険者の数 |
| 分子 | 期間中に離職で一般被保険者の資格を失った人の数 |
| 分子に入れない人 | 定年退職、重責解雇、役員への昇格、本人の事情による労働時間の短縮などで資格を失った人、一部の雇用期間の満了による離職 |
| 日付の基準 | 雇用保険のデータ上の離職年月日 |
計算した値は小数点第2位を四捨五入し、100を超えた場合は100%とします。会社都合で辞めてもらった人は分子に入る点に注意してください。

期間の区切り方
厚生労働省の詳細資料の例では、2026年6月10日に計画の認定を申請すると、次のように区切ります。
- 計画時離職率:申請日の12か月前の日が属する月の初日から、申請月の前月末まで(2025年6月1日〜2026年5月31日)。
- 評価時離職率:計画期間の末日の翌日から12か月(計画期間が2026年8月〜2027年7月なら、2027年8月1日〜2028年7月31日)。
目標は、事業所の一般被保険者が1〜9人なら現状維持、10人以上なら1%ポイント下げること。あわせて評価時離職率が30%以下である必要があります。助成額や制度の区分は雇用管理制度コースの記事にまとめています。
解雇などで辞めた人が多いと、支給されない
資料には、離職者がいる場合の条件もあります。計画期間の初日の前日から6か月前の日から、支給申請書を出す日までの間に、倒産や解雇などの理由で辞めた人の数が、計画の提出日の被保険者数の6%を超えていないことです。人員整理を考えている時期と重なる場合は、先に社労士に相談してください。
日々の記録は、この4つをそろえる
- 入社日・退職日と、雇用保険の資格取得日・喪失日。別々に記録し、離職率は資料に定める離職年月日で数える。
- 退職の理由の区分。自己都合・会社都合・定年・期間満了など、数える・数えないの区分。
- 辞めた時の部署と勤続。どこで、何年目で辞めているか。
- 雇用保険の加入の有無。分母と分子に入る人かどうか。
この4つがそろうと、申請の数字の確認と、会議で職場の変化を見ることの両方に使えます。離職の費用を費目で整理する方法は離職コストの記事、入社のきっかけごとの定着は採用経路別の定着の記事にあります。
ナナトリの離職率は、会議用の概算
ナナトリの会議用のまとめには、入社・自己都合退職の件数、辞めた人の勤続と辞めた時の部署、12か月の離職率の概算が出ます。これは公式LINEで登録した社員の記録から出す数字で、雇用保険のデータで算定する申請用の離職率とは別物です。評価の期間の途中で「どの部署で、何年目の人が辞めているか」を毎月見て、手を打つために使ってください。
出典(確認日 2026-09-25)
- 厚生労働省「雇用管理制度・雇用環境整備助成コースの詳細」(離職率の算定方法・期間の例・離職者の条件) https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001688568.pdf
- 厚生労働省「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199292_00005.html
よくある質問
パートで雇用保険に入っていない人が辞めた場合も数えますか?
この助成金の離職率は、雇用保険の一般被保険者を対象に数えます。雇用保険に入っていない人は分母にも分子にも入りません。社内の会議で見る離職率と数え方が違うので、2つを分けて記録しておくと混乱しません。
期間の最後の日に辞めた人は、どちらの期間に入りますか?
厚生労働省の資料では、雇用保険のデータ上の離職年月日をもとに数えると書かれています。月末や期間の末日に辞めた人の扱いは資料の注意書きに沿って確かめ、迷う場合は労働局か社労士に確認してください。
会社都合で辞めてもらった人がいると、どうなりますか?
離職率の分子に入るうえ、倒産や解雇などの理由で辞めた人が一定の割合を超えると支給の条件を満たさなくなります。資料では、計画の提出日の被保険者数の6%を超えていないことが条件です。
社内の記録と申請の数字が合わないときは?
申請に使うのは雇用保険のデータです。社内の記録は、会議で職場の変化を見るためのものと割り切ります。ずれが大きい場合は、資格喪失の届け出漏れや日付の違いがないかを先に確かめてください。
ナナトリで申請用の離職率を出せますか?
出せません。ナナトリの会議用のまとめに出る12か月の離職率は、公式LINEで登録した社員の入社・退職の記録から出す概算です。申請の数字は雇用保険のデータで算定されるので、用途を分けて使ってください。
この記事のまとめ
- 分母=期間の初日の雇用保険一般被保険者数、分子=期間中に離職で資格を失った人数。定年・重責解雇・役員昇格・一部の期間満了などは数えない。
- 倒産や解雇などで辞めた人が、計画の提出日の被保険者数の6%を超えると条件を満たさない。
- 申請の数字は雇用保険のデータ。社内の記録は会議で職場の変化を見るために、同じ区切りでそろえておく。


