ストレスチェック

中小企業の健康経営とアンケート運用

公開 2026.09.25更新 2026.09.25読了 約8分
朝の光が入るオフィスで、社員の健康づくりの計画を話し合う小さな会社のチーム
認定の前に、職場の声。
Editor

ナナトリ編集部が、ナナトリを運営する株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役 吉村 貴成の知見をもとに作成しました。関連会社(株式会社3SMILE・介護と看護の事業所)で採用と定着に向き合ってきた経営者の立場からの記事です。制度の記述は厚生労働省などの一次資料で確かめています(確認日 2026-09-25)。

健康経営という言葉は知っていても、「うちの規模で何をすればいいのか」で止まっている中小企業は多いはずです。認定のための書類から入ると、社員にとっては仕事が増えるだけになりがちです。出発点は、社員の健康課題を把握すること。職場の声を集めて、会議で直し、次の回で確かめる。その回し方を、厚生労働省の数字とあわせて書きます。

健康経営とは、社員の健康づくりを経営の課題としてとらえ、費用や時間を投じて計画的に取り組むことです。健康経営優良法人認定制度は、経済産業省が制度を設計し、日本健康会議が認定する制度で、大規模法人部門と中小規模法人部門があります。認定を目指すかどうかにかかわらず、中身は、健康課題を把握する、手を打つ、効果を確かめる、の繰り返しです。認定基準は年度ごとに見直されるため、申請する年度の基準を経済産業省のページで確かめることが前提になります。

小さな事業所ほど、取り組みは少ない

厚生労働省の令和7年労働安全衛生調査によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、規模によって大きく違います。

事業所の規模メンタルヘルス対策に取り組む割合
労働者50人以上93.7%
30〜49人72.0%
10〜29人54.6%

同じ調査で、過去1年間にメンタルヘルスの不調で連続1か月以上休業した人、または退職した人がいた事業所は13.5%でした(休業10.8%、退職6.5%)。取り組んでいる事業所の中身では「ストレスチェックの実施」が64.0%と最も多く、「職場環境等の評価及び改善」が52.8%で続きます。

職場アンケートの集計を見ながら、改善の担当と期限を書き込むホワイトボード
集めた声は、担当と期限を決めて次の回で確かめるところまでで一周です。

健康課題は、3つの記録から見る

中小企業が社員の健康課題を把握するとき、手元にある記録は主に3つです。

3つを別々に眺めるのではなく、部署ごとに並べると、「残業が多い部署で、職場の答えが悪く、退職も続いている」といった重なりが見えてきます。その重なりが、最初に手を付ける場所です。

集めた声は、会議で直すまでが一周

アンケートを取っただけで何も変わらないと、社員は次から答えなくなります。小規模事業場マニュアルも、集団ごとの分析と職場環境の改善を、事業場の規模にかかわらず努力義務としています。回し方は次のとおりです。

  1. 部署ごとの集計を見て、困りごとの傾向を1つか2つに絞る。人数の少ない部署は傾向として読む。
  2. 会議で「誰が・いつまでに・何をするか」を決める。休憩の取り方、業務の偏りの見直しなど、すぐ手を付けられることから。
  3. 社員に、何を決めたかを短く伝える。
  4. 3か月後の短い回の答えで、変化を確かめる。

集める範囲と、見る人を先に決める

健康づくりの取り組みは、社員の信頼がないと続きません。国の57問の個人の結果は、本人の同意なしには会社に渡りません。職場の改善に使うのは部署ごとの集計で足ります。ナナトリの任意アンケートの答えは管理者には社員ごとに見えるので、集めること、見る人、会議に出すのは名前なしのまとめだけ、という運用を導入の前に書き出して社員に示してください。

ナナトリでは、57問の個人の結果は本人と実施者だけが見ます。会議用のまとめは名前を出さずに人数や件数で示し、見られるのは会社の管理者だけです。国の57問の集団の数字は10人以上の集団から出します。

ナナトリで回す場合

ナナトリは、年1回の全問と3か月ごとの短い回を、社員のLINEに自動で配信します。答えは部署ごとのチームワーク(同僚・上司・会社・職場環境)の数字になり、入社・退職の記録、面談と相談につないだ件数と一緒に会議用のまとめに並びます。AIの会議メモが、議題と「誰が・いつまでに・何をするか」の案を出します。

ナナトリは健康経営優良法人の認定を代わりに取るサービスではなく、認定を約束するものでもありません。取り組みの中身である、課題の把握と改善の確認を続けやすくするための道具です。外国人スタッフのいる職場はLINEと9言語の記事、職場の声の聞き方は中堅社員の記事、採用と定着の数字の見方は採用費と定着の記事で書いています。

出典(確認日 2026-09-25)

よくある質問

健康経営は、大きな会社のための取り組みではありませんか?

規模にかかわらず取り組めます。健康経営優良法人認定制度(経済産業省が設計し、日本健康会議が認定)には中小規模法人部門があり、小さな会社向けの基準が設けられています。認定を目指すかどうかにかかわらず、社員の健康課題を把握して手を打つという中身は、どの規模の会社でも同じです。

ストレスチェックをしていれば、健康経営になりますか?

ストレスチェックは健康課題を把握する手段の1つで、それだけで取り組みが完結するわけではありません。集団ごとの分析をもとに職場環境を直し、その変化を次の回で確かめるところまで回して、はじめて取り組みとして意味を持ちます。

健康経営優良法人の認定基準は、どこで確かめればよいですか?

経済産業省のページで、申請する年度の認定基準を確かめてください。基準は年度ごとに見直されるため、前の年度の情報や民間の解説をそのまま使うと、項目がずれていることがあります。

小さな会社でも、職場環境の改善はできますか?

できます。小規模事業場マニュアルは、集団分析と職場環境の改善を、事業場の規模にかかわらず努力義務としています。大がかりな制度でなくても、休憩の取り方、声のかけ方、業務の偏りの見直しなど、会議で決められることから始められます。

社員の健康情報を、会社が集めすぎることになりませんか?

集める範囲と、誰が見るかを先に決めてください。国の57問の個人の結果は本人の同意なしには会社に渡りません。職場の改善に使うのは部署ごとの集計で足ります。何を集め、何を集めないかを社員への説明に書くと、安心して答えてもらえます。

この記事のまとめ

  1. 小規模ほどメンタルヘルス対策の取り組みは少ない(令和7年・10〜29人で54.6%、30〜49人で72.0%、50人以上で93.7%)。
  2. 健康経営の出発点は、社員の健康課題の把握。集団ごとの分析と職場環境の改善は規模にかかわらず努力義務。
  3. 認定基準は経済産業省のページで年度ごとに確かめる。アンケートは会議で担当と期限を決め、次の回で変化を見るまで回す。
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